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すこやかネットの活動に関する研究報告書閲覧・ダウウンロードページです。

すこやかネット研究会発足から3年、生涯学習開発財団研究助成を受け、2018年1月より質問紙調査を開始、インタビュー調査など1年近くをかけ調査・分析を続けてきました。メンバーによる分担執筆を2019年1月より始め、2019年10月に報告書として完成、印刷することができました。調査にご協力いただきました各教育委員会及び各校区の皆様には、改めましてお礼申し上げます。

表紙全体.jpg

告書は、A4版75ページ。左図をクリックすると報告書が表示されます。

ブックマークを有効化すると目次(PDFしおり)が表示されます。

 

目次

はじめに  1~3p
第1章 調査のねらいと概要  4~11p
第2章 すこやかネットの現状  12~41p
第3章 すこやかネット活性化のための組織的条件  42~52p
第4章 すこやかネットにおける学校・地域のコーディネーターの役割  53~57p
第5章 調査のまとめ  58~66p
付録(補足データ・質問紙調査票) 67~74p

コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の現状と課題

(大阪府内の教育委員会訪問調査から)

RCE兵庫-神戸2020年度実践研究集会自由研究発表

 

1.問題意識

2017年の地方教育行政法の改正を受けて、学校運営協議会制度によるコミュニティ・スクール化が急速に進んでいる。コミュニティ・スクール化を急ぐあまり、既設の学校評議会を学校運営協議会に衣替えしたところも多い。

地域と学校の協働の取組が無くして、コミュニティ・スクールがその本来の目的を達成できるとは考えられない。そこで、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の経緯や現状から課題点を検討する。

 

2.コミュニティ・スクールと地域学校協働

2004年3月中教審答申等を受けて、地方教育行政法が改正され学校運営協議会の設置が正式にスターした。そして、2017年の改正により、各教育委員会には設置の努力義務が課せられた。そこで、2019年度には7,601校と2017年からは2倍以上に急増している。

一方の地域学校協働活動は、2017年の改正社会教育法施行により位置づけされ、地域学校協働活動推進員の配置や地域学校協働本部の設置が始まった。2017年の5,168本部に対して2019年の統計では6,503本部である。

 

3.大阪府内の教育委員会の現状と課題

筆者は2108年度から2年間、地域学校協働活動を推進するコンサルタントとして大阪府内の教育委員会等を訪問する機会を得た。2019年は7市町から相談要望があり、4市町を担当し訪問した。

各教育委員会とも、2022年度導入を目標に準備を進めていた。学校運営協議会設置の努力義務が2022年度に見直され点、補助金申請にはコミュニティ・スクール化又は設置計画があることが2019年度から加えられている。

具体的な課題としては、①委員の謝礼金の確保があった。学校数が多くなればより多くの予算確保が必要になる。文科省としては、地方財政措置しているとの見解だが、各自治体でその予算を確保するにはかなり厳しい状況にある。②2022年度に向けたプレッシャーである。2018年の教育振興基本計画での「全て公立学校への導入」が出され、2022年の改定では必置が求められるのではとの情報が飛び交っている。③は②の課題から学校評議員制度から衣替えである。大阪府では、2018年度に府立高校すべてをコミュニティ・スクール化した。学校評議会があるのでコミュニティ・スクールの必要性が無いと考えている教育委員会も多いが、学校評議会の衣替えが早いと考えるところも多い。④独自のコミュニティ・スクールの存在である。「教職員の任用にする意見具申」がある学校運営協議会制度への不安等から独自の方式がある。

このような、本来の趣旨である学校と地域の関係や協働の取組の課題ではない問題で教育委員会の取組が進んでいる。

 

4.課題から見えてきたこと

大阪府内全中学校区には「地域教育協議会」が2000年から3年間で設置された。2018年のアンケート調査からは、半数の学校で継続しているが、半数では、停滞など有名無実の状態である。急ぐあまり、強制的な手法には、結局無理が生じる。また、学校と地域の仲の良さ(信頼関係)があって、学校と地域の協働が進む。信頼関係があって、学校運営協議会が機能すると考えている。

学校と地域の協働体制(地域学校協働活動)の構築を先に進めなければならい。地域学校協働活動の土台があって、コミュニティ・スクールが創つられる。

学校を核とした人のつながり(教育コミュニティづくり)

~地域教育協議会(すこやかネット)の活動に関する調査研究~

RCE兵庫-神戸2019年度実践研究集会自由研究発表

 

本研究では、2018年に筆者が共同研究として実施した大阪府が推進する「地域教育協議会(すこやかネット)」の調査研究から教育コミュニティづくり現状と課題を報告する。

1.教育コミュニティとは

教育コミュニティは、「学校と地域が協働して子どものことを考え、具体的な活動を展開していく仕組み、そして、そこでつくられる新たな人のつながり」 である。大阪府の施策実践を先導した故池田寛大阪大学教授が提唱した。学校・家庭・地域のそれぞれが垣根を越えてつながることにより、子どもと大人のふれあいを回復し、地域の教育力全体を高めることが教育コミュニティづくりの主たる目的である。

2.地域教育協議会(すこやかネット)

教育コミュニティづくりを推進するための施策として、大阪府では、2000年度より「総合的教育力活性化事業」を開始し、府内中学校334校区(政令市を除く)に「地域教育協議会=すこやかネット(愛称)を設置した。すこやかネットは6年間の限定事業とされたが、府の財政状況から2007年度末で府からの補助金が途切れて、その後は各市町村にゆだねられることになった。[1]

 

3.すこやかネットの活動に関する調査研究

2017年に「すこやかネット研究会」を立ち上げ予備調査を実施後、2018年に府内225校区へのアンケート調査とその結果を受けて7校区へのヒアリング調査を行った。大阪府内288中学校から「すこやかネット」が継続されている225校区(政令市を除く)の組織を対象とし郵送調査を実施した。

回答校区数が118校区、半数を超える回答を得た。単純集計からの漠然とした認識になるが、全体として肯定回答が多かったとの印象を持った。活動拠点が少ない・確保されていない点や認知度の低さや発展性の課題なども見えてきたが、想定した以上に活動が継続されていることが分かった。ただ、未回答校が半数近くあり、回答が得られない校区は回答校区以上に厳しい現状にあるではと考えている。事業開始から今年で20年を迎えることになる。行政の財政状況が厳しい中でも半数の学校では課題を抱えつつも教育コミュニティづくりの意義を持って取り組まれている状況にあるといえる。この結果からも、近年府内各市町村において、総合教育会議の設置や教育振興基本計画の策定が進んでいるが、基本計画に「教育コミュニティづくり」を挙げている市町村は18、「地域教育協議会」を含めると22市町となっており、大阪府内での教育コミュニティづくりは、確実に根付いてきている。

 

4.地域学校協働活動とコミュニティ・スクールへの動向

学校と地域の連携・協働の役割が改めて注目されている。2017年3月社会教育法改正により、「地域学校協働活動」が位置付けられた。「地域学校協働活動」とは、「地域と学校が連携・協働し、幅広い地域住民や保護者等の参画により地域全体で子供たちの成長を支え、地域を創生する」活動であり、池田が提唱した教育コミュニティづくりである。

これと並行し、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)も2017年4月に施行された「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の改正により、努力義務化とされ、地域学校協働活動と一体的な推進が全国的に進められる。

 

[1] 学校支援地域本部・子ども教室等の文部科学省予算を充当、組織への直接の助成は各市町村の判断となっているが、現状は半数程度が助成を継続している。

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